経絡指圧は欧米では良く知られた指圧法です。この指圧は「病気を治す」ための指圧として故増永静人先生が創始しました。病医院に通院されている方や病気療養中の方、また病気ではないけれど体が辛いと感じている方などを対象にしています。

　一般の指圧が症状別に分類した「ツボ」を施術するのに対し、経絡指圧では各人の症状に適した「スジ」（これを「経絡」と呼びます）を探し出し、そのスジの上をその状態に合わせて順次指圧するものです。ですから点在するツボをばらばらに圧すと言うイメージではありません。横臥、仰臥と指圧の臥位が変化しても常に12本の経絡線上を指圧するのが特徴です。

　医療には必ず診断があります。経絡指圧も医療として行う以上は「診断技術」を持たなくてはなりません。経絡指圧がほかの指圧と大きく違う所は、この診断技術を持っている事です。診断のための技術は西洋医学的な考えではなく、東洋医学の考えをベースにした独特の診断法です。それを指圧として活用しやすいようにまとめてあります。指圧では指先に触れる感覚が診察になり、そして押圧が治療になります。手指で診断を下すことでどのように指圧すれば良いか、また予後はどのような感じになるかなどが判定できるのです。

　経絡指圧を使って全身指圧をして行きますと、従来の指圧では改善しなかったような症状や治りにくい思われていた症状が軽快したという現象を体験するはずです。これは特に難しい事ではなく、基本的な技術を学べば誰でもが体験する事実です。経絡指圧には「経絡診断」をベースにした診断アプローチと全身指圧をベースにした技術的なアプローチがあります。この両者をバランスよく駆使する事で上記のような現象を引き出す事ができるのです。

　これまでの指圧は施術の結果が良ければそれで終わりでした。しかし病気になるのは生活に何らかの原因があるからです。経絡指圧の「証」診断では、経絡の歪みを「吟味」する事で患者さんの生活の歪みが分ります。歪んだ経絡から原因となった生活上の無理を推測し、患者さんにアドバイスします。これは病気の原因になる生活の「事柄」を患者さんに意識してもらう事がネライです。健康管理に大いにプラスになる事です。